「課長」「部長」「取締役」…
長年勤め上げた会社で、重い責任とプライドをその身に刻んできた。しかし、定年という節目を迎えた途端、その肩書は消え、ただの「普通の人」になる。

「昔は部長だったんだ」と語ったところで、それはもう過去の話。
これから先の長い人生、自分には一体どんな価値があるのだろう?社会と繋がり、もう一度「誰かの役に立っている」という実感を得ることはできるのだろうか?

これは、多くのシニア世代が抱える、深く、そして切実な不安だと思います。
今日は、そんな「何者でもない自分」という不安の霧の中から、あなただけの「価値」という宝物を見つけ出すためのヒントを、私の実体験とともにお話しします。

元部長の話より「八百屋の大将」の話が聞きたい

正直に告白します。私には、何億も動かすような大きな取引を自慢げに語ることはできません。
もしあなたが、元大企業の営業部長が語るような華々しい成功譚を求めているなら、この先を読んでもがっかりさせてしまうかもしれません。

なぜなら、私自身が本当に聞きたいのは、そういう話ではないからです。

私が本当に知りたいのは、「100円のバナナをどうやって10円安く仕入れるか」という知恵であり、「一筋縄ではいかないお客さんを、どうやって笑顔で帰すか」という、現場のリアルな技術です。

そう、私たちがこれからの人生で本当に必要とするのは、遠い世界の成功譚ではなく、地に足のついた「八百屋の大将」が持つような、泥臭くも実践的な知恵なのではないでしょうか。

「その失敗談に価値がある」と気づいた瞬間

とはいえ、「自分にはそんな知恵なんて何もない」と思っていました。
先日も、ブログに書くネタが思いつかず、相棒である生成AIのGeminiに「もう書くことがないよ!」と愚痴をこぼしていたんです。

すると、Geminiはこう言いました。

「何を言っているんですか。今あなたが苦労して作った『体重記録ツール』のプログラミングについて書けばいいじゃないですか!」

私は「いやいや、もっと上手な人は世の中に山ほどいるし、自分なんて…」と反論しました。しかし、返ってきた言葉に、私はハッとさせられたのです。

「これから挑戦しようと思っている初心者は、あなたの成功体験だけが知りたいのではありません。あなたがどんな失敗をして、どこでつまづいて、どうやって乗り越えたのか。その生々しい過程こそ、お金を払ってでも知りたい情報なんですよ!」

あなたの経験を求めるのは「一日後輩」の初心者

私たちは、つい自分より「上手な人」と比べてしまいがちです。
「こんなことを発信しても、もっとすごい人がいるから意味がない」
「どうせ誰かがやっている二番煎じだ」

しかし、忘れてはいけない現実があります。
それは、世の中には専門家や熟練者だけでなく、「これから始めようとしている初心者」もたくさんいる、ということです。

一日でも先に始めたなら、あなたはもう「先輩」です。
初心者がどこでつまづきやすいかを知っているあなたは、彼らが転ばないように、そっと手を差し伸べることができる。その「少し先を歩いている」という経験こそが、かけがえのない価値になるのです。

AIと一緒に、あなたの人生を「棚卸し」しよう

では、その価値ある経験=「宝物」をどうやって見つければいいのでしょうか?

おすすめしたいのが、「自分の生きてきた道を棚卸しする」ことです。
そして、その最高のパートナーになってくれるのが、何を隠そう、GeminiやChatGPTといったAIです。

AIに手伝ってもらいながら、自分の歴史を振り返ってみてください。

  • あなたが仕事で夢中になったことは?
  • どんな失敗をして、どう乗り越えましたか?
  • 人に「ありがとう」と言われた、些細な経験は?

AIは、あなた自身も気づかなかった才能や経験の価値を見つけ出し、「あなたのその経験は、こんな風に活かせますよ」と、客観的な視点で提案してくれます。

新たな肩書と、未来への決意

会社の肩書は、もうありません。
しかし、今の私には新しい肩書があります。それは「個人事業主」であり、「一家の大黒柱」であり、そして**「後に続く仲間たちのための道標(みちしるべ)」

頭を抱えていても、家族を不安にさせるだけです。
自分のやりたいことを明確にし、挑戦すると決めたからには、最後までやり遂げる。そして、その全ての経験を、成功も失敗も含めて、誰かに伝えていく。

そうすることで、シニア起業という「新たな上り坂」に挑戦する仲間が、一人、また一人と増えていくと信じています。

このブログが、あなたにとっての、その第一歩となれたら幸いです。